令和3年度第36回海洋化学学術賞

令和3年度第36回海洋化学学術賞は,令和3年11月13日(土)京都ホテルオークラにて,小畑元氏に授与されました.

小畑 元氏


所属・職:東京大学大気海洋研究所・教授

略歴:
1991年3月 京都大学理学部卒業
1997年3月 京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了,博士(理学)学位取得
1997年4月 滋賀県立大学環境科学部日本学術振興会特別研究員(PD)
1999年1月 東京大学海洋研究所機関研究員
2000年2月 日本学術振興会海外特別研究員(英国リバプール大学地球科学部)
2001年6月 東京大学海洋研究所助手
2003年4月 東京大学海洋研究所講師
2007年4月 東京大学海洋研究所准教授
2017年12月 東京大学大気海洋研究所教授(現在に至る)

受賞題目:クリーン技術に基づく海洋における微量金属元素研究

推薦理由:
小畑元氏は1990年代から海水中の微量金属元素に関する研究を開始し,クリーン技術を駆使して研究を発展させてきた.まず,海水中の極微量の金属元素分析法の開発に取り組んだ.分析操作中に汚染を受けないサブナノモルレベルの鉄・マンガン・アルミニウムの船上自動分析法を開発した.さらに,これらの分析法を駆使して海洋における微量金属元素の分布とその挙動を明らかにした.また,海水にはピコモルレベルしか存在しない白金についても研究を進めた.一方,観測時に汚染を受けない海水の採取法の開発にも力を注いできた.特に,同氏が開発した白鳳丸・新青丸における海水のクリーンサンプリング法は,国内の数多くの研究者に利用され,日本の海洋化学の発展に大きく寄与している.これらの経験を活かして,国際共同観測計画GEOTRACESにおいて標準・相互検定小委員会委員を長年務めてきた.GEOTRACESで用いられている海水中の微量金属元素分析のためのプロトコル執筆にも貢献した.よって小畑氏は海洋化学学術賞にふさわしいと確信し,ここに推薦する.